知的障害などがある須藤哲也さんと留美子さん。旧優生保護法の改正後、30代のときに2人とも避妊処置を受けた。お金の管理など日常生活に支援が必要なため、障害者向けのグループホームで暮らしている。パン工場で一緒に働く中で交際をはじめた。当時、2人が交わした手紙には子どもを産んで育てたいと書かれていた。国からの報酬でグループホームが支援できるのは原則18歳以上。子どもが生まれても支援の対象外となる。グループホームを運営する樋口英俊理事長は今の国の制度では2人の子育てを支えられないと考えている。入居者や家族が希望した場合、避妊処置を紹介することがあるという。哲也さんの姉の美奈子さんは弟に代わって自分が子育てをすることも考えたが家族の反対を受けてやむなく避妊処置を提案したという。哲也さんと留美子さんは悩み続けた。5年以上にわたる話し合いの末、避妊処置は必要だと考えるようになった。