コメの価格に影響する備蓄米の入札。今日、結果の概要が発表された。落札価格の平均は消費税抜きで60キロ当たり2万1000円余。専門家は想定よりは安く落札されたという印象としている。入札の舞台裏で何が起きていたのか参加した集荷業者に密着。備蓄米の入札について江藤農林水産相は「落札数量は14万1796トン、落札率は94.2%。集荷業者の高いニーズが反映した結果と思っている」と述べた。対象となった15万トンのうち9割以上が落札され、落札価格の平均は消費税抜きで60キロ当たり2万1217円だったと発表。コメの価格高騰が続く中、流通を円滑にするため今月10日から行われた入札。JA全農などの集荷業者が参加。落札された備蓄米は、集荷業者から卸売り業者に販売され今月下旬以降、スーパーの店頭などに並ぶ見通し。大手卸売り各社によると家庭向けについては複数の品種のほか、令和6年産と5年産を混ぜるなどしたブレンド米として販売するという。気になる販売価格は落札した価格に加え精米や輸送などにかかるコストを踏まえ決まっていくことになる。江藤農相は「店頭価格が約4300円で推移。それよりかなり安い価格になるだろう」と述べた。今回の入札結果について三菱総合研究所・稲垣公雄研究理事は「想定よりは安く落札されたなという印象。価格は全体的には下がる方向になるだろうと思うが、今4000円以上している5キロのコメがすぐ値段が大きく下がるかというと必ずしもそこまでの影響はないかもしれない」と語った。備蓄米の入札、舞台裏で何が起きていたのか、入札に参加したJA福井県。今回、取り引き先の卸売り業者から備蓄米の確保について想定以上の要望が寄せられたという。入札では業者ごとに申し込める上限が決められていて、高い価格を提示した業者から順番に落札できる。いくらで落札されるかで店頭での価格も変わってくると見られる。重要となる入札価格。今月4日、入札を前にして、JAの担当者による会議が開かれた。量を確保するには、高い価格での入札が必要だが、消費者のためにはできるだけ安い価格で落札したい。ぎりぎりの金額を探る。調整は入札の締め切り直前まで続いた。そして今週火曜日、入札結果が農林水産省からメールで通知された。落札できたのは、希望した数量のうち、9割にとどまった。再入札もできたがJA福井県では価格高騰につながる可能性があるとして見送った。JA福井県入札担当者・高山祐一課長代理は「生産者、消費者にある程度安定的に供給できる価格を狙って落札している。少しでも消費者にコメを買ってもらえる状況になることを願っている」と語った。備蓄米の放出で十分な量のコメが消費者に届くのか。江藤農林水産相は2回目の入札についても7万トンを対象に今月中に実施できるよう準備を急いでいると明らかにした。こうした動きについて三菱総合研究所・稲垣公雄研究理事は「今回の14万トンだけでは必ずしも十分ではない可能性が高いと見られている。最終的には2年間合計すると30万トンくらい供給が足りていない。しっかり生産量が増えているということでしか価格は安定していかない。その意味で何度かに分けながら、政策的に対応をしていると思う」と述べた。