独身の日の前夜。ネット通販の販売業務を請け負っている会社ではセールのピークを迎えようとしていたが、以前のような熱気は感じられない。背景にあるのは景気の減速。不動産不況の長期化や厳しい雇用情勢を受けて個人消費は伸び悩んでいる。顧客獲得が一層難しくなる中、メーカーなど各社によるあの手この手の販路拡大の動きが活発になっている。枕やマットレスなどを製造販売する中国の家具、日用品メーカー。このメーカーでは、通販サイトだけに頼るのではなく店舗での営業を強化した。問い合わせをしてきた客にはまず近くの店に来るよう呼びかけている。商品に触ってもらったり、丁寧に接客することで通販サイトで取り逃していた客を確実につかむのがねらい。さらにリピーター獲得の取り組みも始めた。独自のポイントや誕生日特典など来店者向けのサービスも強化した。独身の日のセールのターゲットは高齢者にまで広がっている。この日はコミュニティーセンターでイベントが開かれた。こちらの高齢者向けの健康サロン。企画したのはEC事業を支援する会社。ねらいは健康サプリメントの売り込み。高齢者の中には今もインターネットでのショッピングに抵抗を感じる人が少なくない。そこでターゲットによっては対面のほうが効果的だと考えた。この会社ではイベントなどで高齢者の信頼を勝ち取ったあとで自社サイトでの販売につなげたいと考えている。通販サイト主導の販売モデルが変化し始めた中国。景気減速のもと消費者のニーズに合わせた販売を強化していけるかが鍵になりそう。