ことし2月1日、横浜DeNAベイスターズの外野手・度会隆輝(21歳)は沖縄でプロ初キャンプを迎えた。底抜けに明るく、がむしゃらに取り組む姿にファンは心を奪われた。三浦大輔監督やDeNAに復帰した筒香嘉智選手も度会に期待を寄せている。WBCで活躍した先輩の牧秀悟に対しても気後れしない。牧は度会について「バッティングはいかつい。ドライブ回転でホームランを打つところ、なかなかできんよ」と語った。22年ドラフト1位の松尾汐恩は「身体のバネがあるなとずっと思ってて、飛ばすコツであったりっていうのが分かってる」と褒めた。プロの先輩も認める度会の原点はヤクルトで活躍した元プロ野球選手の父・博文さん。自宅横にある手作りのバッティングケージで練習を重ね、中学時代には日本一も経験した。名門・横浜高校に進学し、ドラフト候補として注目された。迎えた2020年10月のドラフト会議。チームメイトの松本隆之介がDeNAのドラフト3位、木下幹也が巨人の育成4位で指名される中、度会が指名されることはなかった。指名漏れの高校生の多くが大学に進学する中、度会は社会人野球の強豪ENEOSに進んだ。度会は大学だとドラフトまで4年かかるが、社会人だと3年で行ける。絶対に一番短い期間でプロに行きたいと理由を語った。高卒3年目でドラフト1位指名を受けプロ入りした社会人選手はわずかに3人しかいなかったが、度会は複数球団からの1位指名を目指し、全体練習が終わった後も練習に励んだ。ENEOSの大久保監督は度会について「しっかり全力疾走する。守備の時に一生懸命ちゃんとやってる。打った後の姿勢、抑えられた時の態度、野球を舐めない、疎かにしない。そういうところも含めて成長した」と評した。度会は「自分はもっと必死にやらなきゃと思えるようになった」と社会人時代を振り返った。ドラフト指名漏れから2年後の2022年、度会は都市対抗野球大会で1試合2本塁打を含む4本塁打11打点の活躍を見せ、MVP・新人賞・打撃賞など総ナメにした。