ことしの春闘は2年連続で5%を超える高い賃上げ率となった。さらにフルタイムで働く人の去年の平均賃金は月額でおよそ33万円と、比較可能な1976年以降では最も高くなった。賃上げ税制というものの利用件数が昨年度は25万4000件余りで過去最多となった。これは国が2013年度に導入したもので企業が社員の給与を増やした場合、前の年度からの増加率に応じてこの法人税の税負担が軽減されるというもので、中小企業でも利用が増えている。首都圏で果物店やフルーツパーラーなどを展開する企業で従業員の数はおよそ200人。物価高で光熱費や果物の輸送費が毎年上昇しているのに加えて、課題となっているのが人材の確保。そのため会社は、賃上げ税制を活用して2021年度、主にボーナスを増額した。その翌年度は、ベースアップと定期昇給を引き上げ、昨年度はおよそ4%の賃上げに加え、接客の技術を学ぶための教育訓練費も増やした。一方で、この賃上げ税制を巡っては国会で減税の規模や賃上げの効果を検証すべきだという指摘もある。