東京・江東区にあすオープンする新たな都立公園、海の森公園。およそ60ヘクタールの広大な敷地で東京湾に面していて都心や房総半島などの眺望を楽しむことができる。実はこの場所、もともとはごみの埋め立て地だった。かつてごみ山だった場所を緑の森にしようとボランティア活動を続けてきたある男性を取材した。若林要三さんは18年前からボランティアとして仲間と一緒に公園の整備を手伝ってきた。今は緑が広がるこの場所、実は東京のごみを埋め立ててつくられた。昭和48年から62年までの14年間で埋められたごみは1230万トン。当時は分別やリサイクルなどがほとんどなく今の10倍ほどごみが出されていた。この時代、家計の収入は倍増。それに伴って消費も大幅に増えた。半導体関係の営業の仕事をしていた若林さんも給料は右肩上がりで暮らしぶりも大きく変わった。その後、バブル経済は崩壊、若林さんはサラリーマンとして厳しい時代も経験し58歳で退職した。第2の人生、何をするか考えていたときに出会ったのが海の森公園でのボランティアだった。その活動中、土の中に大量のごみが埋まっているのを見て衝撃を受けた。何とかしたいという思いに駆られた若林さんは青梅市にある自宅から往復5時間以上かかる距離を18年で400回以上通いた。40代から80代まで40人ほどのボランティアの仲間と一緒に苗木を育ててきた。育てた苗木は希望した人たちにより公園中に植えられた。参加した人数は延べ2万3000人に上る。若林さんたちは植えられた木の手入れをしたり周囲の草を刈ったりしてきた。地道な活動を続けようやく海の森公園ができた。先週、オープンを前に若林さんはかつて一緒に木を植えた孫の望月洸太さんと公園を訪れた。そこは15年前、洸太さんが3歳のときに植えた場所だった。この春、高校を卒業したばかりの洸太さんは祖父の思いを感じ取っていた。この海の森公園だが、鳥や虫なども多く生息していて自然と触れ合えるほか斜面を滑ったりスポーツをしたりして子どもたちも楽しむことができるという。