都内のIT企業に勤める斉藤麻里奈さん。2人の子どもを育てながらフルタイムで働いている。この日、子どもが体調を崩し、仕事を切り上げて帰宅することになった。もともと東京・世田谷区で家を借りていたが、第2子の妊娠をきっかけに横浜市に引っ越した斉藤さん。片道20分だった通勤が1時間になった。体調を崩した娘を病児保育施設に迎えに行くため午後4時半に会社を出た斉藤さん。通勤時間が延びたことに加え、子育ての出費がかさむようにもなった。施設までは会社から電車とバスを乗り継ぎ70分かかる。迎えの時間に間に合わず、駅からタクシーを使うことも増えた。2週に1度は子どものどちらかが体調を崩すためやむをえず病児保育を利用するが、行政の施設は都内と比べると数が少なく予約が取りづらい状況。そのため高額な民間の施設を利用せざるをえず、先月は病児保育だけで5万円かかった。斉藤さんは2LDKで60平方メートルのマンションを購入したが、住宅費以外の出費が増え、生活は楽になっていないと感じている。もう一つの悩みは睡眠や食事の時間を削らざるをえないことだ。別の会社に勤める夫とは、家事や育児を分担しているが、夫の仕事は夜遅くなることも多いため夜の時間帯は主に斉藤さんが子どもの面倒を見ている。会社にいられる時間が短くなった分、子どもを寝かしつけたあと家で仕事をすることも増えた。