クルド人のチョーラクさん一家は埼玉・川口市に住んで12年。2歳で来日した中3の長男と日本生まれの小4の次男は流ちょうに日本語を話す。一家のように、仮放免のクルド人は川口市周辺に700人ほどいるとみられる。入管施設の外での生活は認められるが、在留資格はない。移動は制限され、就労も禁じられるため、在留資格がある兄の支援で生活している。そんな状況でも見回りは欠かさないといおう。チョーラクさんは「日本社会に迷惑をかけるクルド人がいるのはとても嫌で、恥ずかしいと思っている」と語った。一家が今最も恐れているのは強制送還。トルコ政府が去年公開したリスト。トルコからの分離独立を掲げる組織PKK=クルディスタン労働者党に資金を提供したとして、リストに記された個人や団体の資産を凍結するとある。見回り活動をしてきた日本クルド文化協会とチョーラクは、日本で目立つ活動をしてきたことで狙い撃ちにされたという。チョーラクさんは「トルコ政府は私たちをテロリストと決めつけた。強制送還されたら、死ぬまでずっと刑務所」と語った。一家は日本で生きることを切望している。先月下旬、入管の施設にチョーラクさん夫婦がやってきた。約3か月に1度、仮放免の延長を申請するが、認められずに収容、そして強制送還されるケースもある。2時間後、2人が出てきた。仮放免は延長されたが強制送還の懸念は消えない。チョーラクさんは「トルコに行ったらつかまることもあるので。日本は平和な国なので、ビザもらったら助かる」と語った。チョーラクさんのように日本で生活を築いてきたクルド人を巡って、新たな問題が起きている。