東京大学医科学研究所（東京・港区）へ。東京大学医科学研究所・中西真教授はこれまであらがえないと言われてきた老化の常識に挑む研究者。中西教授は老化細胞を取り除くことで筋力を改善させることに成功。更に老化細胞を取り除けば病気の予防にもつながる。皮膚の若い細胞と老化細胞を見ると若い細胞は細長く引き締まった形だが老化細胞は大きく広がった形をしていて細胞分裂いわゆる新陳代謝ができなくなっている状態。今老化の原因として考えられているのが老化細胞の蓄積。老化細胞は本来免疫によって排除されていくが一部はそれを逃れ年齢を重ねるにつれて体内に蓄積してしまう。すると蓄積した老化細胞が炎症を引き起こす物質を分泌。これにより筋力や内臓機能が低下、こうして老化は起こりさまざまな病気のリスクになる。中西は老化細胞だけが持つ弱点を発見。老化細胞が生きていくために必要不可欠なGLS1という酵素の働きを封じれば老化細胞が死ぬと考えた。GLS1阻害剤はアメリカで抗がん剤として治験中の薬で、中西教授はこの薬で老化細胞だけを死滅させることに成功。2021年にはアメリカの科学誌「サイエンス」で発表された。今後治験を経てヒトへの応用ができれば老化が原因で起こるさまざまな病気を予防できる可能性がある。
27歳で老化研究の道に進んだ中西。その後、生命現象を化学的に解明しようとする生化学に没頭。老化の原因解明に取り組むことになる。東京大学医科学研究所・中西真教授は「老化、あるいは病気そのものも化学反応で最終的に理解できれば治療薬も見つかると考えた」などとコメント。