大阪関西万博の開幕まで10ヶ月余りとなった。万博が開催される期間中は暑い日も多いと見込まれていて、懸念されるリスクの一つが熱中症。こうした中、会場内での熱中症の危険度をきめ細かく予測し、対策につなげようという取り組みが進められている。1日平均15万人が訪れると見込まれる大阪関西万博。会場内のパビリオンなどは日時を指定して事前に予約ができる予定だが、一部は事前予約が導入されず、当日に並ぶ必要がある。4月から10月という開催期間中は気温が高い日も多く熱中症のリスクがある。こうした中、対策を進めようと会場内での熱中症の危険度を予測する取り組みが進められている。研究グループの一人、神戸大学の大石哲教授。気象と災害の関連が専門で会場内のどの部分でどの程度熱中症の危険度があるのかを解析している。研究グループでは、国土交通省が作ったデジタル地図を利用し、そこに暑さ指数や風向き、温度など膨大な量のデータを取り込む。予測のイメージ。赤は危険度が高い場所を示している。5メートル四方で細い通路ごとに区切って予測することが可能で、グループでは毎日夕方に翌日の予測を博覧会協会に提供することにしている。研究グループには土木工学や地球科学など様々な専攻のおよそ40人が携わっている。この日は実際のシミュレーション結果を基に議論した。予測された情報をもとに博覧会協会はどう対策を立てるのか。熱中症の危険度が高い場所ではミストを噴射するという案もあるが、それだけでは十分ではないとみられている。そこで危険度が高いと予測された場所に可動式の植木を移動させて日陰を作ったり、観客の列を日陰に誘導したり、休憩所を設置したりという案が検討されている。研究グループでは、この夏に博覧会協会の許可を得て会場内に温度計を置き、実際の温度とシミュレーション結果を比較することにしていて、さらに予測の精度を高めようとしている。環境省と気象庁が発表する熱中症警戒アラートは都道府県単位だが、今回の取り組みでは5メートル四方でどの部分の危険度が高いのかが具体的に分かるということで、きめ細かい対策につながることが期待できるということ。研究グループでは、今後、熱中症のほか、高潮の発生する危険度も予測する予定だということ。