ことしの夏は世界的にも記録的な暑さとなる中、労働者を守るために政府が働く時間を規制する国もあるという。ただ、労働時間が減れば収入も減ってしまう。インドではこうしたケースにも対応する保険が登場した。各地で45度を超え、50度に達する地域もあったインド。農村には日雇いで農作業を行い、貧しい生活を続ける人たちも少なくない。気候変動の影響を最前線で受けている地元の農家の女性たちを支えようと、ことし新たに始まったのが“猛暑保険”と呼ばれる取り組み。運営するのはインドのNGO。参加する女性は、インドで暑さが厳しくなる4月を前に1人200ルピー(約340円)を拠出する。そして4月〜7月までの間に地域ごとに設定された最高気温を超えると、その地域に住む女性たちは保険金を受け取ることができる。加入者の1人、シータルゴヒルさん。日雇いの農作業から僅かな収入を得て、幼い子どもなど家族6人の暮らしを支えている。収入源の家畜の世話を含め、ことしは記録的な猛暑で作業が厳しく、熱中症になりかけたこともあった。体調を崩した幼い息子の看病も重なり、休みを取らずに働き続けることが難しいと感じていた。こうした中、この地域に設定された43度を超えるごとに保険金が支給、食費10日分にあたる日本円で約1400円を受け取ることができた。息子の治療代に充てるとともに、ゴヒルさん自身も少し休養を取ることができた。この仕組みで、ことしの夏は4万5000人以上の女性に1000円〜3800円ほどの保険金が支払われた。女性支援団体・事務局長は「女性たちは熱波の影響から守ってくれる保険の仕組みができたことをとても喜んでいます」と述べた。