キッシンジャー氏は、ニクソン大統領の安全保障担当の補佐官となり、1973年に国務長官に就任して、アメリカと中国の国交正常化に大きな役割を果たした。冷戦時代の当時、中国を取り込むことで、中国とソビエトを引き離して、ソビエトをけん制した。逆キッシンジャーとは、冷戦時代とは逆に、中国をけん制することを指す。アメリカはロシアと接近することで、中国とロシアを引き離す狙い。トランプ大統領はいま、ウクライナでの停戦に向けて逆キッシンジャーを実践しているのではないかとの見方がある。ロシアと中国は、ウクライナ侵攻前から、制限のない友好関係を強調して、侵攻後にはその関係を深めてきた。ロシア産の原油などが欧米に制裁を受けるなか、中国は安価なロシア産原油の輸入を増やし、両国は双方から恩恵を得る関係を強化させてきた。望月は、ロシアと中国は、アメリカ主導の国際秩序ではなく、多極化した新たな国際秩序の構築を目指すことで一致していて、今後もロシアと中国の関係が強化される方向に変化はないとみられているなどと話した。