石川県金沢市で暮らす女性。能登半島地震で輪島市の自宅が全壊したため、現在はみなし仮設住宅として借りた家で夫と6人の子どもと暮らしている。子どもたちは輪島が大好きで今も輪島のことが話題に出ない日はない。当初はすぐにでも輪島に戻るつもりだったため住民票を移していない。しかし、去年9月の豪雨災害で輪島に戻るなら住みたいと思っていた場所が浸水の被害を受けた。子育て環境のこともあり輪島に戻りたいという思いと、金沢にいたほうがいいという思いの間で揺れ続けている。石川県の推計では輪島市、珠洲市の去年1月から11月までの人口減少率は9%となっている。一方、携帯電話の位置情報を個人を特定できないよう加工されたデータを基に企業が分析したところ、去年11月時点の推定人口はおととし12月時点と比べて輪島市で30%、珠洲市で37%減少していることが分かった。地域別に見ると地震と豪雨の二重被災の影響が深刻な輪島市の東部や、津波による被害が出た珠洲市の内浦沿岸の地域で大きくなっている。人口が大きく減少したと推定されている輪島市東部の町野地区。地震と豪雨で二重に被害を受け路線バスの本数が減るなどして、車を持たない住民が不便な暮らしを強いられている。地域の暮らしを守るため住民たちが立ち上がった。住民の有志が輪島市から委託を受ける形で、ほかの住民を病院やスーパーなどに無償で送迎する事業を実験的に行うことにした。暮らしの利便性を確保するなどして人口減少に歯止めをかけたい考え。専門家は“人口の減少を抑えるには復興の道筋を行政が早く示す必要がある”と指摘する。