米中の貿易協議の結果を受けて、「必要なレアアースは中国によって供給される」と投稿したトランプ大統領。中国がレアアースを交渉のカードとする戦略が機能したことを物語っている。中国のレアアースは、米中のやりとりの間で中心議題となっていた。米中が互いに高い追加関税をかけあい、関税を巡る報復合戦が激しさを増す中、4月中国はレアアース輸出を規制。7種類のレアアースについて外国への輸出を許可制とし、10数社のアメリカ企業を指定し輸出を原則禁止とした。5月にはジュネーブで米中の1回目の貿易協議が行われ、その後互いに課していた追加関税を115%引き下げると合意。しかし、アメリカは中国が合意後も輸出を遅らせていると主張。国内ではフォードがEVのモーターなどに必要なレアアースが不足しているとしてシカゴの工場の稼働を一時停止した。アメリカは先月下旬、半導体関連の中国への輸出規制を強化。米中の貿易摩擦が再び激しくなることへの懸念も出る中、トランプ大統領と習近平国家主席が電話会談。今回の協議、合意へとつながった。中国は世界でレアアースの採掘の7割、精錬後の流通の9割を独占。レアアースは自動車やスマートフォンなど製造業の製品や戦闘機などの兵器にも使用されている。レアアースの重要性を知っている中国の戦略がアメリカとの交渉で威力を発揮したといえる。環球時報は11日、「中国のレアアース企業のひとつがアメリカなどへの輸出許可を得た。」と報じた。米中の貿易摩擦は休戦状態に戻ったが、米中の間で今後枠組みがどのような形で履行されるのかが焦点となる。