最高裁が、生活保護引き下げは違法とする統一判断を初めて示し、引き下げ処分を取り消す判決を言い渡した。生活保護を巡っては厚労省が2013年から3年間、デフレによる物価下落を踏まえて支給額を次第10%引き下げた。受給者たちはこの引き下げが「健康で文化的な生活」を保障する生活保護法に違反するとして、引き下げの取り消しなどを求めて全国で訴訟をしている。原告の1人・千代盛学さんは、長年、和食の料理人や電気関係の仕事をしていたが、約15年前に糖尿病を患い視力を失い失職。一人暮らしを支えているのは月13万円ほどの生活保護。違法と判断を示した最高裁は「専門的知見と整合性を欠くところがあり、厚生労働大臣の判断には、家庭と手続きに過誤、欠落があったといわざるを得ない」としている。一方で、受給者側の賠償請求は退けた。同様の裁判は29の都道府県であり、これらの裁判にも大きな影響を与えることになる。