千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館で今月から始まった企画展。ドイツを拠点に活躍する作家の国内初の回顧展で多くの人が訪れている。もともとモネやルノワールといった名画をはじめ20世紀の美術品を中心に750点余りの作品を所蔵しており、34年前、民間の化学メーカーが社会貢献の一環として研究所の敷地内に開館させた。四季折々の植物が色づく緑豊かな庭園はおよそ3万坪。地元市民の憩いの場所としても親しまれている。しかし美術館を運営する企業が突如来年1月からの休館を発表した。運営コストを考慮し東京への縮小移転か運営中止を前提に検討するよう社外取締役などで作る委員会から助言を受けたという。この美術館の大ファンの林と大森は何としても地元に残したいと有志の会を作り活動を始めた。存続を求める看板も美術館の近くの土地に許可を得て設置した。地元の佐倉市役所も署名活動を始め、行政が関わる異例の活動には国内外から4万件以上の署名が集まった。休館を惜しむ声も続々と寄せられ、西田三十五市長は千葉県の熊谷知事にも協力を求めた。実業家でアートコレクターの前澤友作も著名な作品が売却される可能性に言及し作品の購入に意欲を示している。美術館などの経営に詳しい和光大学の平井宏典教授は「民間企業が運営する美術館は株主の意見を意識せざるをえない環境がある。企業が美術館を持つことの意義について株主たちに丁寧に説明する必要がある一方で美術館が誰もが日常的に訪れるような場所にならなければいけない」と指摘している。佐倉市による署名活動は今月いっぱい行われるという。