第一生命経済研究所首席エコノミスト・熊野英生さんのスタジオ解説。103万円の壁は、国民民主党が現行の103万円を178万円に引き上げることを打ち出したことが議論の発端。自民党がのめるのは120万円程度とみられる。国民民主党案の178万円は最低賃金を基準に出されたもの。消費者物価指数を基準にすると117万円、パート賃金を基準にすると121万円(第一生命経済研究所首席エコノミスト・熊野英生氏の試算)。熊野さんは「今後も物価が上がると、120を物価に合わせて上げるのがフェアではないかと思う。178万円にした場合のマイナスのポイントは、税収に穴が開く。あまりに大きく一度に減ること。」と解説した。きのうの国会代表質問で立憲民主党・石川香織議員からの「103万円尾年収の壁を引き上げることによる地方財政の減収は全て補てんされる?」という質問に、答弁する石破茂首相が「専門的な観点も含め様々考えなくてはならない観点があると認識している」と明言を避け、野党からはヤジが飛んだ。103万円の壁引き上げで税収はどうなるのか。政府の試算によると、基礎控除引き上げで178万円の場合の税収は年間7兆~8兆円の下がり、うち約4兆円は住民税。きのうの定例会尾見で村井嘉浩宮城県知事は「賛成だが地方財源に大きな穴があくという不安感を持っている。行政サービスが大きく低下する可能性がある。」と指摘している。103万円の壁を“178万円”まで引き上げると各自治体の減収額は、埼玉・坂戸市(人口約10万人)では、減収額が約18億円になる。これは給食費無償化などが相当している。千葉市(人口約100万人)では、減収額が約253億円で子ども医療費助成に相当してくる。さらに、福岡・久留米市(人口約30万人)では、減収額が約50億円でゴミ収集・処理などに相当。また、神戸市(人口約150万人)では、減収額が約354億円で再開発工事などに相当してくるとのこと。第一生命経済研究所の試算によると、120万円の場合は税収が年間1.7兆円程度減だと伝えられた。立岩さんは「税制も含めたちゃんとした議論をするべき。それを先送りにするのは良くない。」「全体的な議論をしないと103万円だけですという議論では、抜本的な日本のいい方向にいかない。」などとコメントした。