障害のある人の働く場を確保するため法律で企業に義務づけられている雇用率が先月から2.5%以上に引き上げられた一方で、雇用率を達成している企業は引き上げられる前の去年の段階でも半数にとどまっている。都内で開かれた障害者雇用についてのセミナーでは、障害者の働く場を企業に紹介する障害者雇用ビジネスと呼ばれる事業が説明された。障害者を雇いたい企業に代わってこのビジネスを行う事業者が働きたい障害者を紹介し、企業と障害者は直接雇用契約を結ぶ。その上で働く場所も事業者が確保する。企業は雇用率を上げることができ、障害者は仕事に就くことができる。この事業の中で多くの障害者が働いているのが農園。神奈川県内の農園で働いている自閉症の男性は週5日働き給料を月十数万円程度得ている。厚生労働省によると障害者雇用ビジネスの事業者は全国で32社、利用している企業はのべ1200社に上ると見られている。東京都内のIT関連企業では16人の障害者を雇用し、うち6人が事業を使って福岡県内の農園で働いている。一方別の農園で働いていた人からは、企業の戦力として働きたいと考えていたが実態は違っていた、障害者雇用率達成のための働く場だったのではとの声もあり、やりがいや成長を感じることはなかったという。こうした声を受け有識者などの研究会が立ち上がり、現地調査やヒアリングなどを行って報告書がまとめられた。利点として障害者が最低賃金以上の収入を得られることや、障害者雇用のノウハウがない企業が法定雇用率を達成できることなどを挙げている。問題点として、仕事が十分になく障害者自身の成長が望めないケースもあることや利用する企業の中には適切な雇用管理をしていない実態が見られることなどを指摘した。専門家は雇用率という数字のみだけでなく仕事の内容な、質を重視する必要があると指摘している。