高額療養費制度は医療費が高額になったときに自己負担を抑えるもので例えば、がんや糖尿病、不妊治療など保険適用の治療に使うことができる。高額療養費制度を巡って今日夕方、がん患者の団体などと面会した福岡厚生労働相は自己負担の上限額を引き上げる当初の方針を修正し長期的に治療を続ける患者の負担を据え置くことを伝えた。高齢化などに伴って医療保険の財政が悪化する中、政府は高額療養費制度の見直しが必要だとして年収などに応じて設けられたひとつき当たりの自己負担の上限額を今年8月から段階的に引き上げる方針を示していた。患者団体からの反対を受けて政府が見直したのは長期的に治療を続ける患者の負担。現在の制度では例えば年収約370万円〜770万円の場合、直近12か月の間に3回以上、制度を利用すると4回目から負担が軽減され約4万4000円となる。当初の案では4回目以降も含めて自己負担の上限額を引き上げる方針だった。今回示した修正では4回目以降は引き上げを凍結し今のまま据え置くとしている。一方、3回分は当初のとおり引き上げる方針。中学生と高校生の息子を育てながら、がんの治療を続けている女性は患者が集うサロンを主宰している。3回目までは自己負担の上限額が引き上げられるという今回の方針について危機感を示した。女性は「お金の心配をしながら治療とするのは精神的に良くない。最初の3回であってもがん患者が一番苦しい時期に乗り越えられる安心をつくってほしい」と語った。がん患者などで作る団体は大臣との面会後に記者会見を行い長期的な治療を続ける患者の負担を据え置く方針については「感謝したい」と述べた。一方で、それ以外の上限額の引き上げは当初の案どおり実施されると説明されたことについて全国がん患者団体連合会・天野慎介理事長は「引き上げ幅がかなり大きい。決定プロセスにも問題がある。いったん凍結を求めざるを得ない」と述べた。