パリパラリンピックで4つのメダルを獲得した鈴木孝幸がみずから大会を企画した。その名も「鈴木孝幸カップ」。目指したのは障害がある選手もない選手も一緒に参加できるインクルーシブな大会。日曜に横浜で開催され、パリ大会で活躍した選手や元オリンピック選手、そして一般の選手たちおよそ200人が参加した。みんなで競い合うことを目指したこの大会、タイムをもとに計算するポイント制を導入。障害のあるなしにかかわらず順位を競う公式の大会は国内で初めてとなる。カテゴリーの枠を超えた真剣勝負は選手たちに刺激を与えている。健常の選手、中学2年生の細川貴嗣さんは水泳部に所属し、川崎市の大会で上位に入っているがさらに上を目指すにはどうしたらいいか考えていたところ、この夏の大会で見たパラの選手たちの泳ぎに衝撃を受けたと言う。以来、体の使い方をより細かく意識するようになった細川さん。大会ではパラのトップアスリートの技術を学びたいと考えている。迎えた当日、細川さんは熱心にレースを見つめていた。細川さんは100メートルバタフライに出場。決勝では同じ中学生でパラの強豪選手もいた。全力で泳いだ細川さんは3番手でゴールしたが、ポイント換算の結果、4位となった。大会ではさまざまな選手でチームを作るインクルーシブリレーも行われた。鈴木孝幸選手は来年以降も大会を続けて共生社会の実現だけではなく水泳界全体の競技力向上にもつなげていきたいと話した。