香港在住の久米美由紀さんは本業の写真家のかたわら、あるものを収集している。香港でかつて製造業が盛んだった時代に作られた生活雑貨。どこかレトロで、こだわりを感じる一品。久米さんはそれらの展示会を香港で開催。そこには中国化が進む中、香港の人の間で薄れゆくアイデンティティーを見つめ直してほしいという願いも込められていた。久米さんのコレクションは約2000点にのぼる。第2次世界大戦後、香港では製造業が経済成長を牽引し衣料品・生活雑貨などを世界中に輸出してきた。中国が世界の工場として台頭すると多くの工場が移転しメード・イン・チャイナにとってかわる。1990年代に家族と香港に移り住んだ久米さん。「メード・イン・ホンコン」を手元に残したいと買い求めてきたという。写真集の中で焼き物を紹介したところ香港の工房に問い合わせが殺到した。復刻版を作ることになった。1960年代に日本から取り寄せた器に香港で絵付けしアメリカに輸出。