今月14日からフランスのカンヌで開かれているカンヌ映画祭。20日には日本のスタジオジブリに「名誉パルムドール」が授与され式典に参加した宮崎吾朗監督らが受賞を喜んだ。一方今年のカンヌ映画祭で特に人々の関心を集めたのがフランスの俳優・ジュディット・ゴドレーシュさん。今年10代の頃に監督から性的暴行を受けたことを告白し社会に衝撃を与えた。それがきっかけとなって同様の告白も相次ぎ7年前米国から広がった「Me Too運動」のようにフランスの映画界を揺るがす事態となっているゴドレーシュさんが監督した短編「Moi aussi」はフランス語でMe tooを意味し性被害を体験した男女約1000人が参加し性被害に苦しむ様子を描いている。「性被害にあった人の多くは公にするのが難しいが私は映画などで表現することができる」などと語った。今年の始めに14歳の時に出演映画を手掛けた著名監督から性暴力を受けていたと2月に刑事告発、これを受け別の俳優らからも告発が相次いだ。監督側は疑惑を否定しているが映画界に根付く悪しき慣習があらわになったと受け止められた。きっかけとなったのは昨年自身が監督主演で演じたテレビドラマで男性中心主義の映画界をシニカルに描いたもので制作の中で若い頃の被害に向き合い告発するべきと感じたといい娘も出演しておりそれもきっかけになった。映画祭での上映で観客の反応に手ごたえを感じたゴドレーシュさん、声をあげることでフランス映画界を変えられると信じている。Me too運動を受けフランスでは女性監督の支援や映画祭選考委員会に女性を増やすなどの対策が行われているがアメリカのようには運動が広がらなかったといわれている。背景に仏映画界に詳しいマチルド・ブロチエール記者は「芸術性を重んじて監督に絶対的に権限を与えてきた仏映画界の文化がある」などとしている。フランスでは今後問題となった未成年の被害防止は映画製作をする政府機関が動き、未成年の俳優が撮影に臨む時には保護者など大人の同行を義務付け不適切な扱いを受けていないかチェックする方針を発表。フランス議会もゴドレーシュさんの訴えを受け調査委員会を立ち上げ今後労働関係の法律の改正などを念頭に予防策を提言する方針。