静岡・掛川市にある町の駄菓子屋さん「横さんち」。看板娘は高校3年生の佐野夢果さん。彼女はこのお店にボランティアスタッフとして参加し、様々な障がいがあるスタッフの生の声を聞いている。現在、静岡県立掛川東高等学校に通う夢果さんが患っている病気は、手足の筋力が徐々に弱くなっていくという難病、脊髄性筋萎縮症(SMA)。それでも明るくポジティブに。それが夢果さんのモットー。担任は「入学してきた時からいろんなことにポジティブでアグレッシブ。”私はこうだから絶対できない”とか”これ難しいだろうな”っていうところから入らない。一人の人間としてすごく尊敬できる」と話す。夢果さんは3歳の時に病気の宣告を受け、6歳から車いすでの生活を余儀なくされた。父親は「悲しい思いをさせないようにいろんなところに連れて行った」と振り返る。両親が伝えたかったのは車いすでもいろいろなことに挑戦できるということ。しかし高校受験で壁に直面。エレベーターの有無で学校を選べなかった。朗らかな笑顔の下に隠された孤独な心。そんなとき気持ちを紛らわせてくれたのがイラストを描くこと。夢果さんが生み出したキャラクターは恐竜のような妖怪のような愛らしくポップで個性的な生き物たち。その名も”カラフルスライムズ”。12体のキャラクターが持つ際立つ個性。メッセージ性が評判を呼び、Jリーグ・ジュビロ磐田のアウェイギフトに採用。以来、夢果さんは社会の中で受け入れられる自分とは何かを模索してきた。誰もが当たり前に生きていける社会とは何か。夢果さんはイベントや講演会を通してメッセージを発信している。この日は浜松市で行う「車いす夢のデリバリー」の打ち合わせ。「車いす夢のデリバリー」とは障がいがない人が車いすに乗って困っている人々を助けるスタンプラリー。夢果さんが去年から企画を温め続けてきた体験型のイベント。夢果さんの思いに賛同してくれた地元の大学生が集まり実現にこぎ着けた。会場には50人を超える参加者たちが集まった。この日のイベントで多くの築きと笑顔が生まれたようだ。