自分や相手を傷つけたり、物を壊してしまうなどの行動が現れる「行動障害」。日常の外出には支援が必要とされる中、支援員の鍬形貴志さん(37)は去年、行動援護に特化した事業所を岩手・盛岡市で立ち上げた。行動援護には2006年から行政が援助を行っている。障害支援区分3以上などの条件に該当すれば費用の9割を自治体が負担。利用者は1時間あたり数百円程度の負担で済む。しかし制度は出来ても家族には利用し難い現状があった。重い障害があるにもかかわらず継続的に支援してくれる事業者が見つからなかったという。そんな中出会ったのが、去年できた鍬形さんの事業所だった。行動援護のおかげで難しいと思っていた姉の結婚式にも家族で参列するという夢が叶った。鍬形さんは重い障害がある人の行動援護ができる人材の育成にも取り組んでいる。事業所では一年で支援員を5人に増やし20人の行動援護を請け負うまでになっている。鍬形さんは「家族・親戚だけでなんとかしようという時代は終わった。障害もってるから隔離されてじゃなくて、ちゃんと一緒に同じところで生活しているという、そういう社会になればみんな生きやすくなるんじゃないかな」と語った。