台湾の街角では、様々な文化の影響を受けた古い建物を見ることができる。17世紀以降にオランダや清朝、日本などが統治していた歴史を伝える建物は老朽化で解体を余儀なくされるものも増えている。長年、人々に愛されてきた建物や建材を次の世代に引き継ごうと活動する銀行の取り組みを取材した。
台湾南部の台南にある、日本の統治時代に砂糖工場の医務室だった建物内には、瓦や木材などが積まれていた。古い建材の再利用を目指し、建材銀行を2017年に設立。陳さんを含め、建築の専門家など5人が銀行を運営していて、これまでに合わせて170以上の建物から建材を受け入れてきた。解体される建物の持ち主から寄付の申し出があった建材から、使用可能なものを無料で回収し、再利用できるように釘などを抜いてキレイにした上で、修復工事が行われる建物に無償で供与する。これまでに2万点以上を回収しデータベース化。たくさんの建材を整理して管理するため、すべて手作業で番号をつけて保管している。取り壊す前に解体して、どのような木材が使われているかを調べる。さらに作業の様子は映像で全て記録していて、建材だけでなく、建物の歴史やまつわる人々の思いも後世に残すためだ。
しかし市が負担する建材銀行の運営費は日本円で年間およそ1,400万円で、スタッフの人数も限られているため、建築学を学ぶ陳さんの教え子たちが授業の一環として、建材の回収を手伝うこともある。歴史的建物の保護に携わる人材の育成にも役立っているそうだ。回収された建材は、屋根の一部などで再利用される。貴重な建材を社会の財産として、バトンのように受け渡そうとする意識が浸透している。また台南以外の地域でも、同じような組織が設立され、建材を再利用する動きは台湾各地に広がっている。銀行の取り組みは海外からも注目されていて、日本からは福島県西会津町の視察団が訪れた。一方で、木材の再利用率が8割にとどまるなどの課題もある。予算や人手が限られる中、建材を供与する人と使いたい人のニーズを結びつける仕組みをどう作るかが、今後のカギとなる。
台湾南部の台南にある、日本の統治時代に砂糖工場の医務室だった建物内には、瓦や木材などが積まれていた。古い建材の再利用を目指し、建材銀行を2017年に設立。陳さんを含め、建築の専門家など5人が銀行を運営していて、これまでに合わせて170以上の建物から建材を受け入れてきた。解体される建物の持ち主から寄付の申し出があった建材から、使用可能なものを無料で回収し、再利用できるように釘などを抜いてキレイにした上で、修復工事が行われる建物に無償で供与する。これまでに2万点以上を回収しデータベース化。たくさんの建材を整理して管理するため、すべて手作業で番号をつけて保管している。取り壊す前に解体して、どのような木材が使われているかを調べる。さらに作業の様子は映像で全て記録していて、建材だけでなく、建物の歴史やまつわる人々の思いも後世に残すためだ。
しかし市が負担する建材銀行の運営費は日本円で年間およそ1,400万円で、スタッフの人数も限られているため、建築学を学ぶ陳さんの教え子たちが授業の一環として、建材の回収を手伝うこともある。歴史的建物の保護に携わる人材の育成にも役立っているそうだ。回収された建材は、屋根の一部などで再利用される。貴重な建材を社会の財産として、バトンのように受け渡そうとする意識が浸透している。また台南以外の地域でも、同じような組織が設立され、建材を再利用する動きは台湾各地に広がっている。銀行の取り組みは海外からも注目されていて、日本からは福島県西会津町の視察団が訪れた。一方で、木材の再利用率が8割にとどまるなどの課題もある。予算や人手が限られる中、建材を供与する人と使いたい人のニーズを結びつける仕組みをどう作るかが、今後のカギとなる。