今週、認知症の新たな薬が承認された。家族や患者らを苦しめる症状を改善する国内初の薬。東京都内の自宅で家族と暮らす91歳女性は、1年ほど前から認知症の症状がみられるようになった。以前は、太陽のように明るく前向きだったという女性に救急車を呼ぶほどの症状も表れた。こうした症状は認知症の行動障害と呼ばれ、アルツハイマー型の患者の約半分に見られる。人によっては暴力や暴言といった症状となることも。2030年には65歳以上の7人に1人が認知症との推計もある。武見厚生労働大臣は「認知症と家族が安心して日常生活を営むための治療の選択肢が増える意義がある」と述べた。厚生労働省は今回初めて行動障害を抑える薬として「レキサルティ」を承認した。たかせクリニック・高瀬義昌理事長は「喜びを感じる形にする脳神経のホルモン(ドーパミン)があり、安定的に(ドーパミンが出る)作用が効果的に出るように工夫されている薬」と述べた。認知症をめぐっては「レカネマブ」に続いて、新たな治療薬が承認されるなど、向き合っていくための選択肢は増えつつある。