内部通報制度について。勤務先の不正を見つけた従業員が専用窓口に通報することで、不正をいち早く発見し是正につなげるもの。従業員が300人を超える企業などには体制の整備が義務付けられている。約20年前に通報者を守るための法律ができたが、その後も通報者が特定されたり不当な扱いを受けるケースが後を絶たない。通報者保護の実効性を高めるため、国会で報復行為への刑事罰の導入など法改正に向けた審議が行われている。
埼玉・越谷の中古車販売会社は従業員が約35人。内部通報の体制整備は従業員300人以下の企業では努力義務となっていて、これまで専用窓口は設けていなかった。ただ過去にコンプライアンスに関わる事案が発生した際、体制がない中で通報者を守る難しさを痛感したという。新戸薫社長は埼玉県内の中古車販売の業界団体が初めて開いた研修会に参加した。講師は過去に不正を内部通報したメーカーの元社員や弁護士が務めた。中小企業がまず取り組むこととして示されたのが窓口担当者を決めること。そして通報の受付票を作り調査の進捗状況を把握することなどだった。研修後に新戸社長は体制作りに着手。まず専用の受付票を作り、3人の窓口担当者を配置した。さらに外部窓口も設置した。新戸社長は「通報をどう処理していくかは弁護士への相談もしながらやっていく」などと話した。
東京・品川区にある従業員2600人余のIT企業では不正な会計処理による不祥事が8年間で4件発覚。調査報告書によると周囲の職員が不正に気付いていたが、窓口に通報はなかったという。その原因の1つとして、通報者が報復的な扱いを受けるのではないかといった不安を抱くなど制度に対する信頼がなかったと指摘された。そこで企業は匿名性を守りながら内部通報できるシステムを新たに導入した。通報者はパソコンやスマホからシステムにアクセスし、名前等の個人情報を入力せずに案件ごとに発行されたIDを使って通報。最後まで個人を特定されることなく窓口担当者とやり取りできる。このシステムを導入したことで従業員から様々な通報が寄せられるようになり、不適切な会計処理の早期発見につながるなど効果が上がり始めているという。
現在国会で審議されている法改正案では、通報を理由に解雇や懲戒処分をした組織に新たに刑事罰が導入される他、通報者の特定・通報の妨害が禁止される。専門家は「法改正をきっかけに組織全体で通報者を守る風土を作ることが重要」とした上で「国は体制整備が進むよう周知啓発を進め、企業は全従業員に研修を実施するなど意識を高めていくべき」と指摘している。
埼玉・越谷の中古車販売会社は従業員が約35人。内部通報の体制整備は従業員300人以下の企業では努力義務となっていて、これまで専用窓口は設けていなかった。ただ過去にコンプライアンスに関わる事案が発生した際、体制がない中で通報者を守る難しさを痛感したという。新戸薫社長は埼玉県内の中古車販売の業界団体が初めて開いた研修会に参加した。講師は過去に不正を内部通報したメーカーの元社員や弁護士が務めた。中小企業がまず取り組むこととして示されたのが窓口担当者を決めること。そして通報の受付票を作り調査の進捗状況を把握することなどだった。研修後に新戸社長は体制作りに着手。まず専用の受付票を作り、3人の窓口担当者を配置した。さらに外部窓口も設置した。新戸社長は「通報をどう処理していくかは弁護士への相談もしながらやっていく」などと話した。
東京・品川区にある従業員2600人余のIT企業では不正な会計処理による不祥事が8年間で4件発覚。調査報告書によると周囲の職員が不正に気付いていたが、窓口に通報はなかったという。その原因の1つとして、通報者が報復的な扱いを受けるのではないかといった不安を抱くなど制度に対する信頼がなかったと指摘された。そこで企業は匿名性を守りながら内部通報できるシステムを新たに導入した。通報者はパソコンやスマホからシステムにアクセスし、名前等の個人情報を入力せずに案件ごとに発行されたIDを使って通報。最後まで個人を特定されることなく窓口担当者とやり取りできる。このシステムを導入したことで従業員から様々な通報が寄せられるようになり、不適切な会計処理の早期発見につながるなど効果が上がり始めているという。
現在国会で審議されている法改正案では、通報を理由に解雇や懲戒処分をした組織に新たに刑事罰が導入される他、通報者の特定・通報の妨害が禁止される。専門家は「法改正をきっかけに組織全体で通報者を守る風土を作ることが重要」とした上で「国は体制整備が進むよう周知啓発を進め、企業は全従業員に研修を実施するなど意識を高めていくべき」と指摘している。