農林中央金庫は米国国債などの債券の運用で多額の含み損を抱え、これを処理するのに伴って1兆円規模の資本増強を検討していることが分かった。関係者によると、農林中央金庫は1兆円規模の資本増強を行う方向で今後出資者のJAなどと具体的な協議を進めるということ。農林中金は国内で低金利環境が続く中、米国国債を中心に外国債券の運用を拡大してきたが、米国の金利上昇の影響などで金利が低かったときに購入した債券の価値が目減りしていた。この結果、債券の含み損が大きく膨らみ、この処理に伴って来年3月期の最終利益が5000億円規模の赤字に陥る見通しになったということ。このため資本増強によって財務の健全性を確保する必要があると判断した形で今後収益性が高い資産への入れ替えを行うと見られる。農林中金はほかの金融機関と比べて外国債券の投資の比重が大きくリーマンショックの際にも有価証券関連の損失が膨らみ2009年には1兆9000億円の資本増強を行った。