各都道府県にある農業信用基金協会は、農業者が金融機関から資金を借りやすくするために債務保証を行い、返済できなくなった場合は肩代わりしている。国がそのための資金を出資し、独立行政法人農林漁業信用基金を通じて協会に貸し付けているが、会計検査院が令和4年度までの10年間について調べたところ、367億円余りの貸付金残高のうち使われたのは、年間17億円から40億円にとどまっていた。借り入れの需要が減っているのに、基金の規模を維持してきたことが原因と見られ、会計検査院は残高のおよそ6割に当たる218億円余りは、今後も使用される見込みがないとして、農林水産省に対し、不要な分を国庫へ返納させるとともに、出資や貸し付けの規模を見直すよう求めた。農林水産省は12年前にも同様の指摘を受けていて、会計検査院は、必要な見直しを適時適切に行う体制を整備することも求めた。農林水産省は、新型コロナウイルスや物価高騰などの影響が懸念される中、資金供給の円滑化を図るため必要だと考えていたとしている。