先月29日近鉄・大阪上本町駅のホームにはカメラを手にした多くの人が詰めかけていた。近鉄の新型一般車両「8A系」の全面リニューアルは24年ぶり。近鉄技術管理部・喜多陽平さんは「長くお客さまにとって思い出に残る電車になればいいなと」と話した。今年1月東大阪市にある工場を取材。この日は電車の印象を大きく左右する先頭車両の作業に立ち合った。こだわったのが一風変わった緑の座席。背もたれが2面あり足もとには広めのスペースを確保。ベビーカーを持っていても快適に利用でき、スーツケースなどが動かないようにストッパーもつけた。通勤客だけでなく子ども連れや旅行客など誰でも利用しやすい車両を目指す。今年5月深夜の車両工場の周りには多くのファンの姿があった。モーターなどを取り付けるため15km離れた近鉄の車庫に新型車両を運ぶ。今年8月車両が完成。車両の正面部分は従来の正方形に近いデザインから、八角形にイメージを一新。一方で側面はおなじみの赤と白のツートンカラーを採用、従来の「近鉄らしさ」も残した。座席は混雑状況にあわせて窓側に背を向ける「ロングシート」にも、進行方向に向く「クロスシート」にも変えることができる。喜多さんがこだわった緑色の座席は、車両ごとに2か所設置。先月29日の試乗会は1人8000円のチケットが即完売する人気ぶりだった。