きょうのテーマは「日銀の物価・金利見通しのギャップ」。木内さんは「今回の政策転換はまだ小さな一歩ですし、いままでの政策の副作用もまだまだ引きずっている状況。この先も多くの問題があると思うが、1つは市場とのコミュニケーションの難しさがある。マイナス金利を解除した際に日本銀行は2つのメッセージを出しており、1つは2%の物価安定目標が実現することが見通せる状況になったということ。一方で経済・物価は依然として弱いので、政策金利がどんどん上がるわけではないとしている。この2つのメッセージは矛盾している。日本銀行も2%の目標にあまり自信を持っていないように思っていて、『基調的な物価上昇率はなお2%を下回っている』と言っているし、中長期の予想物価上昇率はまだ2%に向けて高まっている途上にあると言っている。通常は期待インフレ率が2%になって遅れて実際の物価が2%で安定するという感じなのに先行指標ですらまだ2%が遠いということは、結構遠いと考えているんだと思う。ではなぜ日本銀行は『2%達成が見通せた』と宣言したのかと言うと、金利が非常に低い水準が続くことでインフレ期待を支えてくれるからなんとか将来的には2%になるということ。ギャップは解消の方向に向かうと思うが、短期的には『日本銀行は2%目標達成と言っているのだから』ということで、金融市場の金利の見通しが上がってきてギャップが埋められる。その場合は金融市場が混乱するリスクがあるということ」などと述べた。また、今後の追加利上げについては「私は年明けの追加利上げがメインと思っている。来年の前半中に0.5~0.6くらいまで上げてそこから様子見だと思っている。ただ、物価が思ったより上振れる場合は春闘での賃上げの影響がサービス価格に転嫁される、あるいは円安がかなり進む場合は日本銀行の利上げのタイミングがちょっと前倒しになり、年後半に追加利上げの可能性が出てくると思う」などと話した。