モンスターが去り、全ての王座が空位となったバンタム級は、次世代の強豪が火花を散らす激戦地へと変貌する。その階級で己の居場所をかけ戦うボクサーがいる。井上拓真は一歩先行く兄の姿をずっと見続けてきた。井上家にとってのかわいい弟。スピードや1発の重さは兄より上と言われながら、期待に応えられない自分がいた。兄が時代を築いたバンタム級で今こそ輝くために。必要だった覚醒の時、きっかけは兄だった。この時、兄弟でのスパーリングは10年ぶり。実は長い間、父・真吾から禁止されていた。兄から弟へ心を込めて繋いだ2人だけの時間。弟もリボリオ・ソリスとの試合に勝利。