中国では15年ほど前、北京オリンピックが開催された前後、空前の高度経済成長を迎えていた。インフラ開発や外資の流入などにけん引され、大学を出た若者は企業から引く手あまたで日本のバブル期のような好景気が続いていた。しかし今から4年前、厳しい行動制限を伴うゼロコロナ政策をきっかけに中国経済は大きく減速。政策の終了から1年半以上経つが、いまだに景気の先行きは不透明な状況が続いている。高度経済成長期に就職した若者は今、30から50代。企業の中心として働いてきた中年世代にリストラの波が広がり始めている。中国が好景気の時代に就職した30代から40代。就職している人数が多く、賃金も高いこの世代の職探しは一層難しくなっている。こうした中、需要が高まり始めているのが心理カウンセラー。コロナ禍以降、仕事に関する悩みを抱える中年世代が増えている。中年世代の厳しい労働事情。中にはリストラと無縁と思われていた専門的な技術や知識を持った人材にも及んでいる。中国のSNS上でも中年の就職難が話題になっている。現在の中国では、雇用の大きな受け皿になっていた不動産事業が不況に陥った。新たな企業の創業も低い水準となっていて人が余る状況になっている。そこでリストラのターゲットなっているのが、35歳以上の世代。若手より賃金水準が高く、若手の従業員との職の取り合いに敗れて職を失ってしまったという状況。中国政府もこうした現状には危機感を抱いていて、破綻した企業の抱える不動産を買い取って事業を継続させたり、新しい事業を興そうと、大学のベンチャー企業の創業を後押しする事業などを始めている。中国の今の20代の世代は「寝そべり世代」とも言われ、現状が好転するまで座して待つという人が多いといわれている。一方で35歳以上の人たちは、中国の高度経済成長で成功をつかんできただけに「夢を諦めない世代」だと言われている。