先週金曜日、衆議院本会議で「基礎年金の底上げ」措置を盛り込んだ「年金改革関連法案」修正案が可決された。去年、5年に一度の「年金財政検証」で現在30~50代前半の人が将来の基礎年金額が低くなる見込みだと明らかになった。就職氷河期世代で企業に就職できず基礎年金だけのフリーターや自営業の場合、老後の生活が苦しくなるとみられていた。政府は当初の案から基礎年金の底上げを削除。これを受け、立憲民主党・野田代表らが”あんパン”に例えて批判した。その後、自民、公明、立憲3党の党首会談が行われ、立憲側の主張を受け入れる形の修正案で合意した。修正案では厚生年金の保険料の積立金の一部と国庫の税金を活用し、基礎年金の底上げを行うというもの。この制度についてファイナンシャルプランナー・塚越菜々子氏は「大多数の人の年金額はアップすることになる。ただ一部の人はこのままの経済前提だと一時的に年金額が減ってしまうデメリットがある」と指摘した。厚労省によると現在の経済状態が続いている場合、30年後、夫婦2人のモデル世帯の年金は厚生年金の減少分以上に基礎年金が増加し、月2万円以上UPするという。一方で、男性では現在63歳以上、女性では現在67歳以上の一部の人は20年間で総額が最大23万円減ることになる。塚越氏は「基礎年金の底上げ措置はいずれ必ず行わないといけないもの。これをしないと生活保護を申請する人が増えてしまって国の財政を圧迫させることで破綻につながりやすい恐れが出てくる」と指摘した。一方、国庫から捻出される政権の財源が明確にされていない点について、自民党内から噛みついた河野太郎前デジタル相は”毒入り”と称して批判した。問題・課題が山積する基礎年金底上げを巡る政治家たちの対応を田中眞紀子氏がぶった斬る。