茂八寿司は船形漁港のそばに店を構え江戸時代創業だという。代々、巨大寿司が受け継がれてきた。田舎寿司と言われ名物となっている。通常1貫の重さは約20g程度だが、約140gある。やや粘り気のある「地元長狭米」を固く握らず空気が入るように握るのがこだわりだという。8代目は小さな頃から6代目の祖父と92歳まで板場に立ち続けた7代目の父のもとで修行した。時代に合わせてネタを変えているが、アジの姿寿司と厚焼き玉子は変えるなと伝えられてきた。姿寿司には約14cmの小アジを使う。背開きにし塩を振り一昼夜漬ける。その後酢洗いしさらに一昼夜漬ける。そして中骨を抜き甘酢に漬ける。アジの姿寿司は仕込みに丸4日かける。もう一つの名物が厚さ4cmの厚焼き玉子で玉子に醤油とダシが入った秘伝のタレを加えて弱火で1時間焼く。寄せ焼きではなく一枚焼きにしている。他にもいくら軍艦や中トロなどを乗せれば田舎寿司が完成する。江戸時代の握り寿司は今よりも格段に大きかったという。館山陸路より海の方が近かったが、次第に海の交通は減り陸の孤島のようになった。当時の名残が残ったとされている。