神奈川県鎌倉市で古道具店などを営みながら遺品に関する本作りを行っている川端美香さんは知人で写真家の野口玲さんとともに発行を続けている。本に載っているのは川端さんの知り合いの中で亡くなった家族が使っていた品々。写真とともに物にまつわる思い出が記されている。川端さんの活動は自身の経験に基づいている。両親を亡くした川端さんは遺品を整理する必要に迫られ、一部は保管したものの多くは処分せざるを得なかった。せめて写真をと野口さんに依頼し、野口さんは写真だけでなく川端さんから聞いた遺品にまつわる思い出を文章にした。川端さんは自身の経験を本にまとめ、その後野口さんとともに知り合い人達の遺品の思い出を取材するようになりこれまで4冊の本を出版してきた。川端さん達の取り組みで家族への思いを新たにした人もいる。平井隆磨さんとその母やよいさんは2年前に川端さん達から亡くなった父の遺品について取材を受けた。平井さんの父は癇癪持ちで母に辛く当たることもあったため亡くなった後も父にわだかまりがあった。本にするのも気が進まなかったが、母が川端さん達に父の思い出を語るのを聞き両親の関係に新たな気づきがあったという。平井さんは、父と母はしょっちゅうケンカばかりしてたわけであってものを投げられても普通の関係だったんだ、2人にとっては普通の出来事だったんだと話した。この日訪ねたのは母を7年前に亡くした沼田元氣さん。川端さん達にとって初めて来た遺族からの依頼だった。川端さん達は本作りを希望する人達への取り組みを増やしていこうとしている。川端さんは、遺品のことで悩んでいる人にもわずかな生きやすい小さな光がここにはあるような気がして、それを広めたいと話した。