来年秋を目指して再建工事が進む首里城正殿。正殿を彩る装飾品の数々も全国各地で復元作業が進んでいる。長崎市では垂飾の龍の刺繍が作られている。制作を取り仕切るのは寺田貴子さん。沖縄戦の戦火を逃れて残されてきた“琉球古刺繍”を手がかりに復元に携わってきた。技法の一つは15世紀ごろの衣装にみられる琉球千鳥繍い。寺田さんは「緻密だが重たさ、圧迫感がなくておおらか。とても法要力があり多少のミスは後でカバーしてくれる」とその魅力を語った。寺田さんと琉球古刺繍の出会いは20年前。博物館からの依頼を受け、伊是名島に残る古い衣装の刺繍を調べたことがきっかけ。フィールドワークを重ねて、海外20か国近くを調査。琉球千鳥繍いは首里城正殿の垂飾の制作に生かされている。今は技法を次世代に引き継ぐことにも目を向けているという。