関東大震災では津波が相模湾を中心に房総半島にも到達した。大きな津波が引き侵されたのは、この地震が相模湾北西部を震源とする海溝型地震で、本震から1時間以内にマグニチュード7クラスの揺れが3度も発生したためだ。逗子市小坪の津波浸水地図によれば、海沿いはほぼ浸水し、集落を流れる川沿いに津波が遡上したことがわかる。来年、創立150周年を迎える小坪小学校の「沿革誌」には校舎が甚大な被害を受けたと記され、津波被害も詳しく記録されていた。今は112歳の高嶋フジさんは100年経った今も津波の記憶が脳裏を離れないという。小坪に住む進藤さんは関東大震災の一ヶ月後に出版された「大正大震災大火災」と父が保管していたという一枚の版画を所持していた。