トラックドライバーの労働時間の上限規制が4月から適用されて、まもなく2か月になる。輸送効率化の取り組みが進む中、そのコスト負担が地方の農家などにのしかかっている実態が見えてきた。長芋や長ねぎなどを生産し、全国に出荷している青森県。3代続く専業農家の内城慶富さんは、2024年問題への対応でコスト負担が増え、自分の代で農家を畳むことも考え始めている。背景にあるのは、地元のJAが進めているドライバーの負担軽減の取り組み。これまでは野菜を出荷する際、運送会社のドライバーが5か所ほどの集荷場を回って集めていた。しかし、4月からドライバーの時間外労働が、実質無制限から年間960時間までに制限。運送会社の負担を減らす必要が出たため、JAが地区のすべての集荷場を回って1、2か所に集めることにした。その結果、JAの負担が増すことになった。さらに効率化を進めるために、JAはパレットと呼ばれる荷物を載せる輸送資材を導入。これまでは慣例で運送会社のドライバーが無償で積み込んでいたのを、今後はJA側の作業員がパレットで積み込む。新たな設備の導入や人件費など、対策にかかると見込まれる費用の総額は年間6000万円。JAで賄う余裕はなく、農家に負担してもらわざるをえない。年間20トン、4000ケースの長ねぎを出荷している内城さん。1ケース当たり25.3円負担が増えるため、年間10万円以上経費が上乗せとなる見込み。さらに、肥料代の高騰も重くのしかかっている。ほかの産地との価格競争もある中で値上げも難しく、今後ますます手取りは減るという。