静岡大学の酵母を研究する研究室。培地を入れる容器は専用のものではなく、ウイスキーの空き瓶を使用している。試薬は10万円を超えるものもあるが、光熱費を除くと研究室が使える資金は月4万円ほどしかない。輸入品の多い実験用器具などの価格高騰に加え、国からの助成金も簡単にはもらえないという。特に獲得が難しくなっているのが、「科研費」と呼ばれる国の助成事業。ノーベル賞を受賞した基礎研究を支えてきたことで知られるが、申し込む研究者が増え受け取れるのは応募の3割程度だという。世界では中国とアメリカが研究費を飛躍的に伸ばす一方、日本はほぼ横ばいで大きな差が生まれている(出典:内閣府資料から)。注目度の高い科学論文の数で日本はイランに抜かれ、過去最低の13位に低迷している(出典:文科省「科学技術指標2024」)。経団連は科研費の早期倍増を提言。財源を議論する委員会を立ち上げた。