避難生活が長引くなか、注意が必要なのがエコノミークラス症候群だ。日本血栓止血学会で理事を務める金沢大学の森下英理子 教授が解説する。地震発生から4日くらいたつと、エコノミークラス症候群の発症率は急激に増える。足の血液の流れが滞り、血栓ができる。足を動かさないと、血の塊ができやすくなる。塊が血流にのって肺に入ってしまう。肺の流れを遮ってしまうと、呼吸困難になる。胸痛や、息切れ、頻呼吸などを起こす。意識消失に至ることもある。熊本地震のときも発症する人は少なくなかった。寝たままや座ったままでいる人、車中泊をしている人、足にけがを負っている人、がん治療中の人、以前に静脈血栓のある人、高齢者、肥満の人などがなりやすい。症状が出てしまった場合、近くの医療従事者に連絡をしなければならない。手遅れになると命に関わる。足の血栓の場合は、症状が出にくい。予防するには、足を動かさなければいけない。寝ていても運動ができる。足の甲をゆっくりのばす、つまさきを上げる、膝を伸ばしたり曲げたりする、足首をゆっくり回す、散歩をする、水分を十分にとることが大切だ。