京都展に向けた制作が始まって3カ月。村上隆は風神雷神をゆるいキャラクターのように描いていた。光明がさす作品がある一方で難航し続けているものも。洛中洛外図屏風を現代版に再構築してほしいという美術館からのオーダー。全体の構図はほぼそのままで、人物の表情は村上風にアレンジ。村上は町を覆う雲に無数のドクロを埋め込んだ。美術館はこのアイデアに満足のようだったが村上はさらなるアイデアを繰り出す。年末も村上はたったひとり、工房で作業をしていた。村上が展示作品の制作と並行して力を入れていたのは展覧会を盛り上げるイベントのプロデュース。村上は何度もショップを訪れていた人物がラッパーのJP THE WAVYだと知り、テーマ曲を作ってもらうことに。展覧会の資金集めに考えたのがふるさと納税。カードを返礼品にして展覧会の資金にしようとした。展覧会の10日前に水などの色を変更した村上。オープン直前には全力で追い込んだ。オープニングイベントは客であふれ、展覧会は初日の早朝から大行列となった。目的は入場券と引き換えでもらえるトレーディングカード。ふるさと納税で京都市内の学生は入場無料になった。村上の恩師・辻惟雄も展覧会を訪れた。