東日本大震災と福島第一原発の事故からまもなく14年。ネット上では未だに福島に対する偏見や中傷の言葉が溢れているという現状がある。そんな現状にアートを通じて立ち向かっているのが高校生の佐藤美穂さん。佐藤さんの作品は、福島への心無い言葉が書かれた福島の地図の上にポジティブな言葉が上書きされている。展示を見た人が言葉を上書きしていくこの作品は、原発事故とその後の風評被害を乗り越える取り組みとして注目された。佐藤さんは震災後に県外在住の近しい人から「福島の米を送ってこないでほしい」と言われたことがずっと心に刺さっているという。佐藤さんは福島に対する根強い偏見が今もあることを知り、福島のために自分ができることを探した。そしてたどり着いたのがアートという答えだった。誹謗中傷の言葉を消すのではなくポジティブな言葉で何度も上書きしていくことで間接的にメッセージを伝えることを目指したという。佐藤さんは「皆が福島の実像を見てくれたら『知る』という新しい復興の形になるのではないか」などと話した。佐藤さんを始め学生達の作品を展示する企画展が東京大学と福島市で今月開かれることになっている。