前回の箱根駅伝は駒澤大学が2年ぶり8回目の優勝となった。2023年1月4日の早朝、夜明けをまたず練習に励むのは出場できなかった選手たち。そこに花尾恭輔の姿があった。花尾恭輔は2020年、駒澤大学に入学し1年生で箱根駅伝デビュー。総合優勝に貢献した。全日本大学駅伝では2年、3年とアンカーを任され優勝。3年生のこの大会まで7つの駅伝全てに出場、しかし2012年12月、主力メンバーの強化合宿に花尾の姿はなかった。花尾はコロナになり、治って練習したとき胃腸炎になり箱根は走れなかった。7月は疲労骨折でまだ走れていなかった。花尾の不安を一番近くで感じていたのは仲のいい安原太陽だった。安原は前回の箱根駅伝、補欠だったが体調不良の選手が出たため出場することになった。欠場した花尾の給水に元気をもらったという。安原は学生の世界一を決める大会で銀メダルを獲得。戦う姿で花尾を鼓舞した。2023年8月、ようやく練習ができるまでに回復。10月、駒澤大学は出雲駅伝で優勝。花尾は走らなかったが10人の登録メンバーには入っていた。藤田淳史監督は「花尾は3冠を狙っていく上では間違いなく必要な人材」などと話した。箱根のメンバー選考を兼ねた試合で花尾は7ヶ月ぶりに復帰、目標のタイムで走りきりいつもの笑顔が戻ってきた。