撮影3日目。平日の店内は落ち着いていた。ひとりの男性客に声をかけた。オオクワガタが好きで、以前は100匹ほど飼っていた。かつては増えた分を父親と田舎で売っていたが、その父親は亡くなってしまった。しかし今、また飼育を始めようと考えている。父親はある時突然、昆虫を飼い始めたのだという。昆虫と向き合うことで父親が何を思っていたのか、それはもう分からない。人生にはふと、昆虫を飼いたくなるときが来るのかもしれない。夕方、小さい男の子を連れた家族が来た。お父さんが虫好きで、オオクワガタを36種類、成虫だけで300匹ほど飼っている。昆虫を通じてお子さんに命のつながり、尊さを感じてほしいと願っている。