太平洋戦争中、空襲で動物園のオリが壊れ逃げた動物が人を襲う恐れがあるとして、猛獣が殺処分された。戦時中の動物園での出来事を後世に伝える取り組みを取材した。東京の上野動物園は1882年に開業した日本最古の動物園。約80年前、戦争の悲劇は動物たちにも及んでいた。上野動物園では当時人気だったゾウ3頭も処分の対象となった。処分される動物たちは、苦しまないようにと毒入りの餌が与えられ、多くの動物が命を落とした。しかしゾウは毒のない餌だけを選んで食べた。毒薬の注射も皮膚が厚く失敗に終わり、最終的には餌を与えず餓死させるという辛い選択がなされた。上野動物園では太平洋戦争終結から80年となった終戦の日にあわせ、この実話をもとにした絵本「かわいそうなぞう」の読み聞かせ会が開かれた。戦争という人間の都合で命を奪われた3頭のゾウ。戦争が終わると、人々は動物たちに再び癒やしや希望を求めるようになった。1949年、インドとタイから届けられた2頭のゾウは、平和の象徴として人々に歓迎され、日本中にゾウブームが広がっていった。そこで上野動物園が企画したのが、動物たちが各地をめぐる移動動物園だった。動物たちは特別仕様の列車にのせられ、関東や東北を中心に巡回。熱烈な歓迎を受け多い日には1日5万~6万人もの人を集めた。同じ頃、移動動物園の他にも人々を熱狂させたゾウがいた。戦後、動物園以外でもゾウが見られる場所があった。それが日本橋高島屋の屋上。1950年にタイからきたゾウは、高島屋にちなんで高子と名付けられ、タカちゃんの愛称で親しまれた。水浴びをしていた噴水は今も残されている。クレーンで釣り上げられ、屋上で暮らし始めたタカちゃんは、生後8か月で体重は約560kgだった。しかし4年後には約1800kgになった。大きくなりすぎたため、屋上を離れることになったという。体重が重くなりすぎてクレーンは使えず、屋上で階段を降りる練習をし、店内の階段を使って地上に下りた。タカちゃんは上野動物園に引き取られた。多くの子どもが触ったり背中に乗ったりしたタカちゃん。日本橋高島屋では来年3月に企画展を予定していて、一緒に写した写真や思い出を募集している。
住所: 東京都中央区日本橋2-4-1
URL: http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/
URL: http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/