宇宙で安全に物を運ぶために使われている断熱技術を生かそうという動きについて。宇宙で行われるさまざまな実験の成果物を地球へ送るために使われる回収カプセルは、大気圏への突入で表面温度がおよそ2000℃になるが、内部に影響が出ることはない。今、このカプセルの技術が医療の分野で応用されている。胃がんの治療薬の研究で患者の血液を検査会社に輸送する際に使われる容器は、魔法瓶メーカーの技術が生かされている。血液を保冷剤と一緒に入れて、3日以上同じ温度を保つことができる。この容器を開発したのは、JAXAが認定するベンチャー企業。代表の宮崎和宏さんはJAXAの職員で、回収カプセルの開発を担当してきた。一方、宇宙での活用を目指して素材の開発を行うベンチャー企業が開発したのは、断熱効果が高い粉末。この粉末を手にのせて熱を加える実験を紹介。1000℃を超える熱さでも、ほとんど熱を感じないという。今、この粉末を液化水素を入れるタンクに使用できないかと考えている。タンクの中はマイナス253℃より低く保たなければ、液化水素が蒸発してしまう。タンクの周りに粉末を挟むことで、蒸発を防げるという。会社はこの粉末を、水素ステーションや運搬船のタンクに使うことで、ビジネスを広げようと考えている。