岩手県陸前高田市で「広田湾海中熟成プロジェクト」が行われている。広田湾には多くのいかだが浮かんでいる。リーダー・鍛冶川直広さんは観光いかだで熟成プロジェクトを行っている。海中10メートルの場所に日本酒、ワインが沈められ、海の中でゆりかごのように揺られながら、ゆっくり熟成が進む。海の中で10ヵ月熟成された日本酒やワインはまろやかさが増し、熟成期間が長いほど濃醇な味わいになる。水揚げされたボトルには、海中での熟成を物語る海藻、フジツボ、貝などが付着し、世界で一つだけのオリジナルボトルになる。海中熟成したワインは熟成前と、9ヵ月熟成させた後の味はまろやかになっている。熟成のメカニズムは解明されていないが、味がまろやかになる。海中熟成は酒蔵で熟成させるよりも、4〜10倍の速さで熟成されると言われている。ワインの他にも日本酒、コーヒー豆も海中熟成させると味が変わる。このプロジェクトは2013年、第13回産業観光まちづくり大賞金賞を受賞。現在、プロジェクトのメンバーは漁師、店のオーナーなど20人以上となり、仲間の輪が広がっている。高田まちなか会・小笠原修会長は、海中熟成をしているということをどんどん世の中に宣伝してもらってそれは大きいとは思いますし効果は出てきていると思いますと話す。プロジェクトを始めて8年、今では物産だけではなく、観光事業としても活動が広がり地域経済の活性化に繋がっている。海中熟成酒を自分で作ってもらう体験が開かれ、多くの観光客が再び陸前高田を訪れている。プロジェクトの目的は復興だけではなく、未来につながる永続的な陸前高田の産業になっている。プロジェクトの立ち上げを知る陸前高田市・戸羽太前市長は、「地域経済というものについて、地域の人たちと一緒にやってくださったことは心強く、未来に向けた可能性を感じられる」とコメント。地域の資源を活用し、復興から発展へつなげている。