日銀はきょう、過去25年間の金融政策について、効果や副作用を分析した多角的レビューを公表した。日本がデフレに陥った1990年代後半からの25年間で、4人が総裁を務めた日銀。このうち、黒田前総裁の下で2013年以降に行われたマイナス金利政策など、大規模金融緩和策については、それまでの歴史的な円高から円安傾向に変わったこともあいまって、「経済物価を押し上げる方向に作用した」と評価している。具体的には、実質GDPが1.3%から1.8%ほどプラスになったとしている。一方、日銀は当初、2%の物価安定を2年程度で実現するという目標を掲げたが、「想定していたほどの効果は発揮しなかった」と分析した。理由の1つとして、賃金や物価が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方を変えることは難しかったことを挙げている。さらには、日銀が大量の国債を買い入れたことによって、国債を取り引きする市場の機能が低下するなど、副作用があったとも指摘している。レビューでは、この先は景気が悪化したとしても、政策金利を上げ下げする今のような金融政策で対応することが重要だと指摘し、今後、追加の利上げを目指す姿勢をにじませている。市場関係者の間では、次回来年1月の会合で追加の利上げに踏み切るのではないかという見方も出ているが、植田総裁は「各会合ごとに集中して分析、判断することになると思う」とコメント。