大阪・関西万博で国内初の商用運行を目指している“空飛ぶクルマ”。業界全体をリードしているのは航空大国・アメリカと欧州で来年の商業運行開始を目指している。また、中国は空飛ぶクルマやドローンが飛行する1000m以下の高度を低空経済と呼び、次の経済成長のエンジンと位置づけた。空飛ぶクルマは電気を動力として垂直に離着陸する次世代の航空機。海外では“eVTOL”と呼ばれている。ヘリコプターによる旅客輸送には運航コストや騒音などの課題があり広く普及することはなかった。都市を飛び回るというチャレンジが再び始まったのは2010年代に入ってから。ドローンが普及する中で姿勢制御や遠隔操作技術が発展、また自動車産業を中心に電動化技術が成熟する中で構造がシンプルで操作しやすい新しい垂直離着陸機を開発する動きが活発になった。
空飛ぶクルマの機体開発を手動するのは世界各国のスタートアップ企業。また、大手航空機や自動車メーカーも開発に参戦しており様々なプレーヤーが入り乱れた国際競争が繰り広げられている。日本が空飛ぶクルマ産業に挑戦していくために重要な視点は航空機産業と捉えること、輸出産業として振興すること、万博後の社会実装の3つ。